写真) 千葉県内の台風被害の様子
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- まとめ
-
- 台風15号の影響による広範囲な停電が千葉県で長期化した。
- 全国の電力会社が復旧に当たるも、予想以上に時間がかかった。
- 発電機や蓄電池などをコミュニティや家庭に備える検討も。
台風19号
「過去最大」クラスの台風19号は10月12日にかけて日本列島に接近し、午後7時頃伊豆半島に上陸した。その後は温帯低気圧に変わりながら東日本を縦断し、各地に甚大な被害をもたらした。内閣府がまとめた報告書によると、人的被害状況は死者71名、行方不明者12名、負傷者415名、住宅被害は、全壊172棟、半壊1455棟、一部損壊3138棟、床上浸水29,428棟、床下浸水32,981棟。土砂災害は486件。河川の増水に伴う堤防の決壊は7県で74河川の135カ所にのぼる。(2019年 10 月 22日 7 時 30 分 時点)
首都圏では公共交通機関が軒並み計画運休を実施するなど、都市機能はほぼ麻痺状態となった。東京都では多摩川の一部から水が溢れ、一部住戸が浸水するなどの被害にあったが、実際は関東の他県と東北地方、長野県などでも大きな浸水被害が出た。
台風15号
台風19号にさかのぼる9月9日午前5時ごろ、強い台風15号が千葉市付近に上陸した。関東に上陸した台風では過去最強クラスとなった。千葉県防災危機管理部が9月26日11時に発表した情報によると、人的被害状況は重傷者6人、軽症者76人。住宅被害は、全壊113棟、半壊1,360棟、一部半壊16,992棟、床上浸水58棟、床下浸水67棟。日を追うごとに被害の大きさが明らかになるという状況だった。
今回、台風15号の暴風が原因で発生した停電の状況と、その教訓について考える。
台風15号による千葉県の停電
東京電力によると、東京電力エリア全体で一時、最大約934,900軒の停電が発生した。千葉県内の停電は12日18時すぎの時点では約303,400軒、上陸から2週間が経過した9月25日13時の時点で、ようやく146軒となった。
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今回は、千葉県君津市にある45メートルと57メートルの送電線の鉄塔が倒壊し、多くの電柱も倒れてこれだけの規模の停電となった。また、現場に向かう道路も寸断され、作業員がたどり着けないなどの問題もあったという。
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当初は報道されなかったが、実際、台風通過後すぐに全国の電力会社から復旧作業のために多くの人員と機材が千葉に向かった。千葉県木更津にある大規模商業施設の駐車場が復旧基地となり、その画像がSNSなどで拡散されて初めて、他地域の電力会社が災害による停電復旧に取り組んでいることを知った人も多いと思う。今回の復旧作業では、全国各地の電力会社や工事会社も応援に駆けつけ約1万6000人体制で復旧に当たったというが、それをもってしても復旧は容易なことではなかった。これだけの規模の台風が通過すると、停電は長期化するという事実を私たちは身をもって知ったといえる。
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電気がなくて困ること
停電が1週間以上続く状態が続くと私達の生活だけではなく、生命の危険すら発生する。普段から、最悪の事態に備えておくことがいかに重要か今回私たちは学んだといえよう。
生活に関わること
- ・ 冷蔵庫が使用できないことで、食品を保存できない。出来合いのもので済ませようと思っても、電子レンジも使えないのでコンビニ弁当を温めることもできない、カップ麺用のお湯を沸かすこともできない。
- ・ 充電が切れたスマートフォンは使えないので連絡が取れない。
- ・ お湯も出ないので、お風呂に入ることもできない。
- ・ 信号も停止する、電車も動かないので、移動ができない。
命に関わること
- ・ エアコンが使用できないことでの熱中症。9月10日には南房総市で93歳の女性が、市原市で65歳の男性が熱中症とみられる症状で死亡している。
- ・ 透析には電気と水が不可欠。中には3日間透析できなければ心停止になる恐れがある人もいる。
- ・ その他の病気でも、酸素吸入が必要な人は電源の確保が必須である。
発電機、どんなものがあるの?
こうした中、いまさらではあるが、停電時の救世主として発電機に注目が集まった。今回の台風では、千葉県が災害用に備蓄している非常用の発電機468台のうち半数以上が倉庫などに置かれたまま活用されていないことがわかるなど、発電機の災害時における使い方に問題があることが分かった。
森田健作千葉県知事は「市町村からの貸し出し要請が少なかった」としているが、今回の対応に問題がなかったか検証していくことを明らかにしている。しかし、発電機は災害に備えて各自でも用意できる。いくつか紹介しよう。
① 手回し発電機
一番簡便なもので、ハンドルを回すだけで簡単に発電できる。軽くて持ち運びができるので非常用持ち出し袋の中に入れておくと便利。ただし、得られる電力はごくわずか。以下の写真の手回し発電機の場合はハンドルを約3分間回すことで、スマートフォンで約1分間通話するために必要な容量を充電できる。
出典) SONY
② インバーター発電機
ガソリンを燃料として発電する発電機。アウトドアや日曜大工、庭の手入れをする人は使ったことがあるかもしれない。不安定な電気の場合、パソコンなど安定した電源が必要な電化製品は、うまく動かなかったり壊れてしまったりすることもあるが、インバーター発電機は家庭用のコンセントと同じ感覚で使用できる。以下の写真の発電機の場合は4.2Lのガソリンで最大10時間ほど連続使用ができる。ただし、可燃性の高いガソリンそのものを保管することは危険を伴うため、いざという時使えるかどうかという問題は残る。
出典) 工進
③ カセットガス発電機
一方、多くの家庭にあるカセットコンロ。その燃料であるカセットガスを使って発電するカセットガス発電機というものもある。ガソリンに比べて、出力が低く、製品の種類も少ないのが現状だが、何よりも、すぐに手に入るカセットガスを使用できるのが便利だ。
出典) HONDA
カセットガス発電機を試してみた
早速編集部でも同発電機を購入。実際に稼働させてみた。
まずは上部のカバーを開け、フタの裏にある説明どおりにカセットガスをセットしてロックレバーを押し込む。とても簡単。
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そして、ダイヤルを運転モードに切り替え、片足で本体を抑えながらスターターレバーを引くだけ。特に力も必要ないので、中学生くらいの子供や女性でも容易に始動できる。発電機で気になるのが音だが、心配していたほどでもなく静かだ。エコモードなら洗濯機の脱水時よりも小さいくらいだ。
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電気もついた。
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発電機の横に、家庭で使うコンセント2個が付いている。普通に電源プラグを差し込むことができる。まずはスマートフォンの充電を試みた。停電が長期化した時、通信機器の充電が自宅でできるのは大きな安心感につながるだろう。
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問題は発電出来る時間が短いこと。メーカーによると、カセットガス2本で約1時間の発電ができるとのことだが、24時間連続発電するには単純計算で、48本のカセットガスが必要だ。保管場所の問題も出てこよう。
編集部が購入したモデルは、運びやすいようにキャスターとキャリーバーが付いていた。発電機単体で大体20キロ超あるので、これは便利だと感じた。ネックは価格だろう。大体10万円~15万円するので、おいそれとは手が出ない。
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家庭用蓄電池
発電機まではちょっとという人も、充電式の蓄電池があると重宝する。シガーソケットや小型のソーラー電池で充電できるタイプも増えており、緊急時に数時間の電源確保ができる。仕様にもよるが、2万円前後から購入できる。
まとめ
電気を当たり前に使えるありがたさをかみしめる人は少ない。しかし、私たちの生活は電気がなくては成り立たない。場合によっては生命に関わる。携帯電話が電池切れして充電することが出来なかったら、災害に関する一切の情報から遮断されてしまう。今回の災害の教訓を踏まえ、発電機や蓄電池などをコミュニティや家庭で備えることを検討しても良いかもしれない。
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